注意:この記事は貝の学者でも専門家でもなんでもないただの趣味のビーチコーマーが書いたものです。適当にウェブ上の画像を見比べただけなのでここに書かれていることを鵜呑みにしないで下さい。
2024年3月24日に三重県志摩市周辺でビーチコーミングをしてきましたが、そこで拾った貝の中に気になるのがありました。それが下の写真の貝です(全て同じ個体)。
『写真集 日本列島を取り巻く海の貝殻図鑑』で調べると第141図版の12番目のキナフレイシダマシの写真に酷似していました。
正誤表(https://photooftheseashellarchives.myportfolio.com/errata)を見ると14111・14112がキナフレイシダマシではなくPascula philpoppeiと書かれていました。検索すると図鑑や自分のと同じような貝の写真がでてきました。となるとキナフレイシダマシやその隣のマギレキナフレイシダマシとはどのような違いがあるのだろうかと(学名で)画像を調べました。見比べて感じた違いは、
キナフレイシダマシ pascula ochrostoma
・ほんのすこし縦長
・螺肋と縦肋が交差するところはとげとげしている
・殻口内は薄い黄~橙
・マギレと比べると螺肋と縦肋がややまばら(かもしれない)
マギレキナフレイシダマシ pascula muricata
・キナフレイシダマシより少しずんぐりしているものが多い
・螺肋と縦肋が交差するところはとげとげしている
・殻口内は白というほどでもなく、橙も多い。白~橙
・キナフレイシダマシよりも螺肋と縦肋が多い(かもしれない)
Pascula philpoppei
・ずんぐりとしているものもあればキナフレイシダマシのようなアスペクト比の個体もある
・縦肋の上に螺肋が乗っかる感じ、トゲトゲしていない
・縦肋が太い
・殻口内は白~黄(もしかしたら橙もある?)
・螺肋はマギレキナフレイシダマシと同じぐらいの密度ですが、縦肋はキナフレイシダマシと同じような密度。つまり縦肋が螺肋よりだいぶ少ない。
やっぱり拾った貝はPascula philpoppeiのようです。日本でも多産するようなので可能性は低くないはずです。
上のそれぞれの特徴が正しいのかは分かりませんがそれに基づくと、日本ではPascula philpoppeiはマギレキナフレイシダマシとなっていることがほとんどでした。逆にマギレキナフレイシダマシが同定ミス以外で別の名前で呼ばれているのは見かけませんでした。
少なくとも上の特徴の真偽に関わらず、マギレキナフレイシダマシと呼ばれている貝はトゲトゲの貝と、トゲトゲではない貝の2種類があると思えます。個体差の可能性もありますが、それにしては差が大きすぎる感じがします。
串本産Pascula philpoppei?の写真
参考文献
Pascula philpoppei for Sale | Conchology
Femorale - Pascula muricata (Reeve, 1846)
Femorale - Pascula ochrostoma (Blainville, 1832)
muricata - Gastropods by Eddie Hardy
https://x.com/9gzog/status/1654463452256284673?s=20